2024年問題とは何?課題や対応方法まで分かりやすく解説
2024年にトラックドライバーの時間外労働時間に規制が入り、従来の輸送能力を維持できなくなる「2024年問題」。
実際にどのような問題が発生するのか、背景を踏まえて分かりやすく解説します。
また、2024年問題だけでなく2030年問題という新たな問題点も懸念されており、合わせて紹介します。
2024年問題や2030年問題について、わかりやすい内容で知りたいという事業者の方は参考にしてください。
目次
1. 2024年問題の背景と問題点をわかりやすく解説
2024年問題はドライバーの労働時間規制によって起こる問題
労働時間規制の背景
2. 2030年問題とは何?原因と影響をわかりやすく解説
2030年問題は少子高齢化により表面化する社会問題
物流業界では深刻なドライバー不足が懸念
3. 2024年問題・2030年問題への対応方法
物流DXによるサプライチェーンマネジメント
共同配送などの物流改革
ITツールを活用した業務自動化・効率化
4. 2024年問題にはITツールなどを活用して効率化を図ろう
1. 2024年問題の背景と問題点をわかりやすく解説
2024年問題の背景や問題点について、押さえておきたいポイントは以下の2つです。
- 2024年問題はドライバーの労働時間規制によって起こる問題
- 労働時間規制の背景
背景と問題を知ることが、効率よく対策を行うことにつながるのでぜひ確認しておきましょう。
ドライバーの労働時間規制によって起こる問題
2024年問題とは、2024年4月から規制される「トラックドライバーの時間外労働」によって生じる問題点のことです。
労働基準法が改正され、物流・運送業界では残業時間が年間960時間に上限規制されることになります。
従来よりもドライバーの拘束時間が短くなり、これまで運べていた荷物が運べなくなることが懸念されます。
物流業界ではドライバー不足が課題となっているにも関わらず、宅配便など荷物の数が増えているのが現状です。
荷物の数に対してドライバーの数も時間も足りず、輸送が維持しにくくなっているのが2024年問題の大きな課題点です。
こうした問題点に対処するためには、荷待ち・荷役時間の削減などに取り組み、物流プロセスの効率化を業界全体で行っていく必要があります。
労働時間規制の背景
2024年問題の重要なポイントとして、残業時間の上限規制は決して悪いことではないという点です。
そもそも前提として、トラックドライバーの労働時間は全産業と比較しても大幅に多い点が問題視されていました。
トラックドライバーの人手不足は、長時間労働の過酷さが原因のひとつとされています。
残業時間の上限規制は人手不足解消のための手段でもあるため、物流業界ではドライバーの拘束時間を抑えながら物流を維持するための取り組みが必要です。
2. 2030年問題とは何?原因と影響をわかりやすく解説
2024年問題だけでなく、「2030年問題」という課題があることはご存じですか?
ここでは2030年問題の概要や課題点について、以下の2点を解説します。
- 2030年問題は少子高齢化により表面化する社会問題
- 物流業界では深刻なドライバー不足が懸念
2030年問題は、物流業界だけでなく社会全体の問題として捉える必要があります。
物流事業者の方以外にも関係がある問題なので、ぜひ押さえておきましょう。
2030年問題は少子高齢化により表面化する社会問題
2030年問題とは、「少子高齢化によって起こる社会問題」の総称です。
2030年に日本国内の人口の約3割が高齢者となり、出生率の低下と合わせて深刻な労働者不足が起こるとされています。
企業からすれば労働者の取り合いになるため、人手不足だけでなく人件費の高騰などによって事業継続が困難になる可能性もあります。
もちろん、起こりうる事態は労働人口の減少だけではありません。
医療をはじめとする社会インフラが維持できなくなるといった、さまざまな課題が顕在化するのが、2030年問題の問題点です。
物流業界では深刻なドライバー不足が懸念
物流業界では、2030年問題によって深刻なドライバー不足が懸念されています。
2030年には、輸送能力が必要量に対して3割以上も不足するのが課題点です。
つまり、発送した荷物の3分の1は運べないという問題が発生するため、各事業者はあらゆる手段を講じて不足分を補う必要があります。
3. 2024年問題・2030年問題への対応方法
2024年問題や2030年問題に対応するための、具体的な手段を3つ紹介します。
- 物流DXによるサプライチェーンマネジメント
- 共同配送などの物流改革
- ITツールを活用した業務自動化・効率化
ポイントは、物流プロセスを根本から見直し、ITツールなどを活用した物流DXです。
従来のやり方を一新し、さまざまな機器も活用して効率化を推進しましょう。
物流DXによるサプライチェーンマネジメント
荷主や配送業者だけでなく、物流プロセス全体での業務効率化を行う必要があります。
例えば、荷待ち・荷役時間の削減のためにバース予約システムを活用するなどです。
トラックドライバーの長時間労働の一因として、トラックが倉庫に到着しても荷物の積み下ろしができないことが挙げられます。
バース予約システムを活用すれば、物流倉庫の荷物の積み下ろしスペース(バース)の空きを待って作業する手間が削減できるため、効率的な荷役作業が可能です。
実現のためには配送業者だけでなく荷主や倉庫側の協力も不可欠なため、物流プロセス全体で効率化を目指す必要があるのです。
共同配送などの物流改革
共同配送といった、従来とは異なる配送方法を選択するのも良いでしょう。
共同配送とは、複数の荷主の荷物を一つの車両で各配送先に届ける方法です。
トラックを各事業者で抱えていても、荷室に無駄な空きスペースが発生することがあります。
共同配送なら荷室を有効活用可能で、また各事業者ごとに抱えていたトラックやドライバーの必要数も減らせます。
荷物の管理など課題はありますが、配送効率を上げるのに有効な手段です。
ITツールを活用した業務自動化・効率化
その他、ITツールを活用した業務の自動化や効率化を目指しましょう。
例えば、荷物やトラックの位置を追跡できるGPSトラッカーなどは導入しやすくおすすめです。
トラックの到着時間の予測や、荷主と受け主側での連携がしやすくなるのが大きな利点です。
荷室内の状況や勤怠管理などにも活用できるため、効率的な運用が実現できるでしょう。
4. 2024年問題にはITツールなどを活用して効率化を図ろう
本記事では、2024年問題についてわかりやすく解説しました。
2024年問題だけでなく、2030年には少子高齢化による問題が顕在化する2030年問題が控えています。
物流事業者は人材の確保や物流の効率化など、多くの問題に対処しなければなりません。
まずはGPSトラッカーといった、導入しやすく高い効果が期待できるITツールの導入を推進し、物流の効率化を目指していきましょう。