トラックの荷待ち・荷役時間把握のポイントは?背景や具体的な削減方法を紹介
トラックドライバーの長時間労働が問題視される昨今、2024年にはドライバーの時間外労働時間が年間960時間までに制限されます。
物流「2024年問題」とも呼ばれるこうした課題に対処するためには、トラックの荷待ち・荷役時間の把握が重要です。
そこで本記事では、トラックの荷待ち・荷役時間を把握する重要性や背景について解説します。
トラックドライバーの荷待ち時間にお悩みの事業者の方や、実際に物流に従事するドライバーの方はぜひチェックしてみてください。
目次
1. トラックの荷待ち・荷役時間の把握が必要とされる背景・理由
まずは、トラックの荷待ち・荷役時間の把握が何故必要なのか、背景について4点解説します。
- 荷待ち時間とは何?
- 荷待ち時間の記録が義務化
- トラックの荷待ち・荷役時間が長時間労働の原因
- 政府は2030年度までに年125時間の荷待ち・荷役時間削減方針
簡単にいえば、「トラックドライバーの長時間労働を抑制し、効率的な物流輸送」を実現するためです。
ドライバーの長時間労働を削減するために荷待ち時間を削減することは政府方針として挙げられており、今後も事業者としては厳しい状況が予想されます。
問題の背景を理解し、適切に対処していきましょう。
荷待ち時間とは何?
荷待ち時間とは、「荷物の積み下ろしのために、荷主側の都合でドライバーが待機させられている時間」のことです。
トラックは荷物を積むときも降ろすときも、倉庫に到着後即作業が行えるわけではありません。
例えば、以下のような原因によって荷待ち時間が発生します。
- 積み下ろしの順番待ちで倉庫などにトラックが入れない
- 積み下ろし要員の出勤時間前で作業員がいない
- 周辺道路の混雑
- 納品予定時間よりも早い到着
荷待ち時間が発生する要因は、さまざまな事情によって積み下ろし作業がただちに開始できないことです。
荷待ち時間の記録が義務化
長年問題視されているトラックドライバーの荷待ち・荷役時間の把握のため、2017年7月には、荷待ち時間の記録を運送事業者に義務付ける法改正が行われました。
対象者と記録内容は以下の通りです。
条件 |
トラックドライバーが車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のトラックに乗務した場合 |
記録内容
|
ドライバー毎に以下を記録して1年間保存 ・集貨又は配達を行った地点(以下「集貨地点等」という。) |
荷待ち・荷役時間の実態把握が行われ、トラックドライバーの業界全体における長時間労働が明るみになりました。
トラックの荷待ち・荷役時間が長時間労働の原因
トラックの荷待ち時間・荷役時間は、トラックドライバーの長時間労働の一因となっています。
2017年に荷待ち時間の記録が義務化されたのち、国土交通省による実態把握が行われた結果、6割以上の事業者で30分~1時間半程度の荷待ち時間が発生していることが分かりました。
事業者によっては荷待ち時間を「休憩時間」として扱っている業者もあり、本来支払われるべき「残業代」などが支払われないことも問題視されています。
また、2024年にはドライバーの時間外労働時間が年間960時間までに制限されます。
従来はトラックドライバーの長時間労働によって成り立っていた物流輸送が明確に規制されることにより、これまでのような長距離輸送ができなくなるのです。
物流「2024年問題」とよばれるこうした課題に対し、物流事業者だけでなく荷主(発荷主・着荷主)と連携・協働し、解決に取り組むことが重要です。
政府は2030年度までに年125時間の荷待ち・荷役時間削減方針
2024年2月16日、政府は「2030年までに運転手1人当たりの荷待ち・荷役の作業時間を、2019年度比で125時間削減する」目標を掲げました。
荷主などを対象とした規制の導入だけでなく、荷主や物流事業者のITツールなどを活用した自動化・機械化設備・システム投資などを支援して目標実現を目指す方針です。
今後トラックドライバーの長時間労働を抑制し物流「2024年問題」に対応していくためには、荷待ち・荷役時間の実態把握と共に、DX化を活用した業務プロセス自体の見直しが必要になります。
2. トラックの荷待ち・荷役時間を把握・削減する方法
トラックの荷待ち・荷役時間を把握・削減する方法を3点解説します。
- ITツールによる実態把握
- バース予約システムによるトラックの効率的な運用
- 荷主(発荷主、着荷主)間の連携
物流「2024年問題」をはじめとする、さまざまな物流課題に対応するためには、従来のやり方を見直す必要があります。
どのように荷待ち・荷役時間を把握して削減すればいいか分からない方は、ぜひ参考にしてみてください。
ITツールによる実態把握
まずは実際にどの程度の荷待ち・荷役時間が発生しているのか、実態の把握が必要です。
時間管理用のツール・アプリなどがありますが、車両や物流資材の位置を把握できる「物流トラッキングシステム」も有効な手段です。
高精度のGPSトラッカーを使用し、位置情報から到着時刻の予測や最適な経路を導きだすなど、物流の効率化に貢献できるでしょう。
バース予約システムによるトラックの効率的な運用
トラックに荷物を積み下ろしする「バース」を予約制にすることで、荷待ち時間の削減を図れます。
バースでの混雑を避けられるだけでなく、荷主側としてもトラックの出入り予定を可視化できるため作業の優先順位をつけやすくなるのが利点です。
荷主・受主間の連携
ITツールによるDX化の効果は大きいですが、荷主(発荷主、着荷主)間の相互連携も重要なポイントです。
物流の効率化はトラックドライバーなど物流事業者だけでなく、荷主の理解と協力が必要不可欠です。
適切な人員配置や各種ツールへの投資など、スムーズな荷物の積み下ろしを目指した改善を行いましょう。
3. まとめ
本記事では、トラックドライバーの荷待ち・荷役時間を把握する重要性や背景を解説しました。
トラックドライバーの長時間労働の規制が進んでいる昨今、ITツールや荷主などとの連携が重要なポイントです。
まずは荷待ち・荷役時間の実態把握を行い、適切な改善を行っていきましょう。
ITツールとして注目されている「物流トラッキングシステム」は、ドライバーへ負荷をかけることなく、車両の位置把握を効率的に行えるようになります。
ドライバーの荷待ち・荷役時間の把握や削減に悩んでいる方は、まずは無料の資料請求から行ってみてはいかがでしょうか。