食品や医薬品などの製品を運ぶ際の温度管理は、輸送品質の観点において重要なポイントのひとつです。
近年では物流「2024年問題」への対応などから、GPSで位置管理ができる「GPSトラッカー」が着目されており、温度管理も同時にできる製品にも需要があります。
そこで本記事では、GPSトラッカーを活用した温度管理の重要性について解説します。
位置情報と温度を併せて把握したい事業者の方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
GPSトラッカーとは何？
まずはGPSトラッカーの基本情報について、以下の2点を解説します。
- GPSトラッカーでモノやトラックを効率的に運用可能
- GPSトラッカーのメリット
GPSトラッカーは、近年問題とされるドライバーの長時間労働抑制にも効果が期待できます。
GPSトラッカーの必要性を踏まえたうえで温度管理についても解説するので、ぜひ本項から押さえておきましょう。
GPSトラッカーでモノやトラックを効率的に運用可能
GPSトラッカーは、トラックや積み荷に対してデバイスを取り付け、積み荷やトラックの現在位置を把握できるシステムです。
荷物の紛失を防ぐだけでなく、トラックの位置情報を把握することにより、物流倉庫への効率的な積み下ろしを促進できるでしょう。
特に、近年ではトラックの荷待ち・荷役時間が長時間労働の原因になっており問題視されています。
荷待ち時間は、トラックが定刻通りに倉庫などに到着していても、順番待ちや倉庫内オペレーションの不備によって発生する場合があります。
そこでGPSトラッカーでトラックの位置情報を把握することで、倉庫を入出する総時間が分かり、時間が掛かっている拠点毎の改善を図ることにより、効率よくトラックの運用を行うことが可能です。
例えば、「物流トラッキングシステム」ではトラックの状況だけでなく輸送距離からCO2排出量を可視化できるなど、SDGsの達成にも貢献できる有効なシステムとなっています。
GPSトラッカーのメリット
GPSトラッカーのメリットをまとめると以下の通りです。
- 手のひらサイズであり、手軽に装着が可能
- 移動距離・ルート・状況の把握
- 積み荷やトラックの場所の把握
- ドライバーの１日の運行把握
- 運用の効率化による人件費削減
- CO2排出量の見える化
- デジタコの補完
ただし、GPSトラッカーを取り付けることで「監視されているのでは」と不安に思うドライバーの方もいるでしょう。
事業者側は、GPSトラッカーの運用前に「あくまで配送品質の向上と効率化のため」であると丁寧に説明し、理解を得たうえで取り付けることが重要です。
GPSトラッカーで温度管理は可能？重要性を解説
GPSトラッカーのメリットを踏まえたうえで、温度管理を行うとどのようなメリットが発生するかを以下3点に分けて解説します。
- GPSトラッカーで温度管理を行うメリット
- 解決可能な課題
- 温度データロガーとの違い
温度管理ができるGPSトラッカーはまだまだ商品数が少ないです。
位置を把握できるGPSトラッキング機能はもちろん、温度・衝撃値といった積み荷の状態に関わる値を測定する機能を備えたシステムです。
GPSトラッカーで温度管理を行うメリット
GPSトラッカーで温度管理を行うメリットは、主に以下の3点です。
- 輸送品質の担保・エビデンス取得
- 輸送中の温度以上などに早急な対処が可能
- 端末を増やさず管理できる
主には、輸送途中における積み荷の状態をデータとして取得できるのが大きな利点です。
輸送品質の担保・エビデンス取得
GPSトラッカーで温度管理ができれば、輸送品質を担保しやすくなります。
荷物を積んでから到着するまでの間、どのような状況で荷物がトラック内部に置かれていたのかを、温度を可視化して把握可能です。
例えば、冷凍食品を積んだトラックが、荷下ろし後に溶けてしまっていたというような状況が発生した場合、輸送時の温度状況を調べれば原因が特定できます。
輸送状況のエビデンス取得に活かせるので、品質の担保を対外的に謳う場合にも効果的です。
輸送中の温度以上などに早急な対処が可能
エビデンス取得はもちろんですが、輸送時の 温度状況を把握できるため、トラブル自体を未然に防ぐことにも繋がります。
輸送中に温度が高くなり過ぎているといった場合でも、管理画面から確認できるためドライバーとの連携がスムーズになるでしょう。
積み荷を守ることだけでなく輸送中の安全性という面から見ても、温度管理は重要です。
端末を増やさず管理できる
GPSトラッカーに温度管理の機能があれば、一つの端末で複数の機能を持てるということになります。
そのため、別途温度管理用のデバイスを導入しなくても済みます。
コストや設置の手間から見ても、1台に機能がまとまっているのは大きな利点です。
解決可能な課題
GPSトラッカーによる温度管理を実現できれば、以下のような課題を解決できます。
・医薬品や食料品など温度管理が必要な積み荷の輸送
・輸送時の温度変化への対応
・輸送中の庫内状況の把握
上記に加えて、GPSトラッカーによる輸送効率の向上にも貢献できます。
食品・医薬品・精密機器といった積み荷の輸送にも対応できるようになり、事業の幅も広げやすくなるはずです。
温度データロガーとの違い
時間経過に伴う温度変化を記録する「温度データロガー」という機器があります。
温度データロガーは主に医薬品や食品の倉庫に設置され、庫内の温度変化を記録して確認するために使用します。
本来一定の温度で保管しなければならない場所で、激しい温度変化がある場合の原因特定などに活用可能です。
GPSトラッカーでの温度管理との違いは、主にGPSトラッキング機能の有無です。
また、GPSトラッカーは倉庫内で常に電力供給できる温度データロガーとは違い、主にバッテリーで駆動します。
倉庫内で使用する場合は「温度データロガー」を、輸送に使用する場合は「GPSトラッカーでの温度管理」といった具合に使い分けるのがおすすめです。
GPSトラッカーによる温度管理は輸送品質の担保と物流の効率化が可能
本記事では、GPSトラッカーによる温度管理の重要性について解説しました。
GPSトラッカーで温度管理ができれば、輸送品質の担保や輸送状況のエビデンス確保に繋がります。
また、輸送中のトラブルを未然に防ぎ、安全性を高めるのにも貢献できるでしょう。
