荷役や管理において欠かせないマテハン資材であるパレットですが、複数社で使用するパレットラウンドユースが着目されています。
そこで本記事では、パレットのラウンドユースの概要や利点について解説します。
パレットのラウンドユースは物流「2024年問題」への対応や、環境負荷の軽減においても有効です。パレットの取り扱いに課題を抱えている事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. パレットのラウンドユースとは?
2. パレットをラウンドユースするメリット
サプライチェーンの最適化
コスト削減や業務の効率化
環境負荷の低減
3. パレットのラウンドユースにおける社会的背景と実例
パレットの標準化がかねてよりの課題
ドライバー不足や環境意識の高まり
ラウンドユースの実例
4. パレットのラウンドユースを実現するための課題
5. パレットのラウンドユースは物流効率化や環境負荷の低減が期待できる
パレットのラウンドユースとは、本来自社の荷役のみで使用するパレットを複数社で使用する手法のことです。ラウンドユースを行わない従来の手法だと、荷下ろし後に自社で所有するパレットへの積み替え作業などが発生するケースがあります。
しかし、パレットラウンドユースの仕組みに参加すれば積み込み時点からパレットに荷物を載せ、その後荷下ろし後にパレットの積み替え作業が発生せずシームレスな荷役が可能です。
パレットの管理責任や企業間での連携など課題もありますが、物流プロセス全体の効率化につながるため注目されています。
パレットをラウンドユースするメリットは、主に以下の3点です。
物流「2024年問題」への対応など、物流業界全体の課題に対しても有効です。ドライバー不足や業務の効率化に悩んでいる事業者の方は参考にしてください。
パレットのラウンドユースは、パレットの積み替え作業などを削減できます。そのため、人による荷役作業が削減できる事で商品事故等のリスクが低減して荷主から受主まで、サプライチェーン全体の最適化につながるでしょう。
物流業界の課題である荷待ち・荷役時間の長時間化を解決するには、物流プロセス全体で効率化に取り組む必要があります。パレットのラウンドユースにより、各所で発生する荷役作業を削減できるのが大きな利点です。
パレットをラウンドユースすることで、各社が独自に大量のパレットを抱える必要性を軽減できます。また、複数社がパレットを共同で利用し、荷役作業の削減など業務の効率化につながるのも利点です。
サプライチェーン全体で使用するパレット数が削減でき、尚且つ今まで各社で所有していたパレットを削減する事で各社のコスト負担削減が期待できます。
海外などへ発送した際、本来現地で廃棄されるパレットを使いまわすことで、廃棄時に発生するCO2削減にも貢献できます。近年では、サプライチェーンにおけるCO2排出量の把握や削減が世界的な流れです。
そのため、環境負荷を抑えることは、事業継続の観点からも重要なポイントになっています。ラウンドユースによりパレットを効率的に使用すれば、パレットの廃棄数を低減できるでしょう。
パレットのラウンドユースにおける社会的背景と実例を解説します。
国土交通省では令和3年度より以下3つの課題から、パレット標準化を推進する検討会が行われています。
また令和3年6月に閣議決定された「総合物流施策大綱」においては、「物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化」を施策として挙げています。さらに、IT技術などの発達により、パレットの追跡がしやすくなっている点も背景として挙げられます。
パレットのラウンドユースが着目される背景には、物流「2024年問題」も関係しています。ドライバーの労働時間規制により、これまで運べていた荷物が運べなくなり、物流全体での効率化が急務です。
ラウンドユースは荷役時間の削減に貢献できるため、物流「2024年問題」やドライバー不足への対応策として有効です。また、同時にCO2削減など社会的な環境意識への高まりに対しても効果を発揮するでしょう。
2024年9月、株式会社ファイントゥデイや丸紅ロジスティクス株式会社など4社が、国内用レンタルパレットを用いた日本・中国間でのラウンドユースを開始しました。
従来では、海外との輸出入時には現地で海外用パレットへの製品積み替えを行っていました。しかし、本件の開始により輸出入時における積み替えや荷崩れ防止などの付帯作業を削減可能です。
これにより、年間約5,000時間の荷役時間削減が期待されます。また、あらかじめ空のレンタルパレットを現地に送る際や、現地で廃棄処分する輸出用パレットの処分時に発生するCO2削減にも有効です。
今後も、ラウンドユースを活用した取り組みが世界的に広がる可能性があるため、注目しておきましょう。
参考元:PR TIMES 4社連合 国内用レンタルパレットを用いた荷主間の輸出入マッチング
パレットのラウンドユースは物流の効率化や環境負荷低減に有効ですが、課題もあります。主に以下の3点です。
パレットのラウンドユースは、サプライチェーン全体での協力が不可欠です。コスト意識や環境への意識は各社温度差があり、管理体制や情報共有が課題として挙げられます。
本記事では、パレットのラウンドユースについて解説しました。ラウンドユースは、物流の効率化や環境負荷の低減に効果が期待できます。
一方で、パレットの標準化や運用の難しさなど、業界全体で取り組む課題もあります。ランドユースを導入したい事業者の方は、レンタルパレットの業者と連携して可否を検討してみてください。