貨物の輸送をトラックなどの車両から鉄道・船舶の利用へ転換するモーダルシフト。CO2削減やドライバー不足の対策として注目されており、国土交通省においても取り組みが支援されています。
本記事ではモーダルシフトのメリット・デメリットについて解説します。2025年4月に施行された物流効率化法も背景としてあるので、物流に関わる方はぜひ押さえておきましょう。
目次
モーダルシフトとは
物流効率化法制定に伴いモーダルシフトの定義が変更
モーダルシフトが求められる背景
モーダルシフトのメリット
ドライバー不足の解消
CO2排出量の削減
長距離における輸送コストの削減
輸送効率の向上
BCP対策
モーダルシフトのデメリット
短距離だと輸送コストが高い
輸送時間がかかる
積み替え作業の発生
天候の影響を受ける
モーダルシフトの適切な活用は事業者のリスクヘッジにも繋がる
モーダルシフトとは、トラックなどの自動車で行われている輸送方法を、鉄道や船舶などに変更することを指します。1980年代のオイルショックをきっかけに、石油の使用量を抑制したり、CO2の排出量を削減することなどを目的として提唱されるようになりました。
ここでは、モーダルシフトについて以下の2点を解説します。
モーダルシフトは、ドライバー不足やCO2削減に関する国際的な動きなどから推進されています。まずはモーダルシフトの定義と背景を押さえてください。
2025年4月に施行された物流効率化法において、モーダルシフトの定義が変更されました。従来は「鉄道や船舶を活用した輸送の取り組み」だったのに対し、物流効率化法の改正以降は「鉄道、船舶、航空機、ダブル連結トラック、自動運転トラック」などが対象になっています。
国土交通省ではモーダルシフト加速化事業費補助金の公募なども行われており、モーダルシフトの推進が進められています。
モーダルシフトが求められる背景には、2024年問題を発端とする物流革新緊急パッケージがあります。人手不足や地球温暖化への対策、ドライバーの働き方改革など、従来の輸送能力を維持しつつ環境への配慮が求められるようになったことが背景となっています。
※参考 https://cargo-news.online/news/detail.php?id=4514
モーダルシフトのメリットを5点解説します。
人手不足や業務の効率化にお悩みの方は、モーダルシフトが解決策のひとつとなるかもしれません。ぜひ利点を把握し、モーダルシフトへの取り組みを検討しましょう。
モーダルシフトは、トラックよりも一度に大量の荷物を運べるため、ドライバー不足の解消に有効です。ドライバーの数が少なくても、運べる荷物の総量が増えるのはメリットといえるでしょう。
2024年以降、トラックドライバーの時間外労働に対する規制により、輸送能力の低下が予想される2024年問題が懸念されていました。モーダルシフトは、こうしたドライバー不足への対応策として活用できます。
これまでトラックで輸送していた荷物を船舶で1度に大量に運ぶことで、発生するCO2の削減に貢献できます。政府は2050年までにCO2の排出量と、森林などでの吸収量や環境技術によってプラスマイナスゼロにするカーボンニュートラルを目指しています。
モーダルシフトによってCO2排出量を削減できるため、環境負荷の軽減につなげることが可能です。
一度に大量に貨物を運べるため、特に長距離では輸送コストの削減につながります。一方で、船舶や列車は関わる人員の数が多いため、短距離ではかえってコストがかかるケースもあるため注意が必要です。
一般的には500km以上の移動からコスト削減効果が期待できるとされています。多くのトラックで長距離輸送を行っている事業者の方は、船舶や列車への切り替えを検討してみてもよいでしょう。
モーダルシフトによって大量輸送ができるため、輸送効率が大幅に向上します。貨物船1隻は貨物列車26両分や、10tトラックおよそ65台分に相当するため、ドライバーを手配する必要が減り、それに伴って発生する人件費等の削減にもつながるでしょう。
前述の通り長距離輸送で特に効率化が期待できるため、人件費や輸送費等のコストを試算して総合的に判断してください。
モーダルシフトはBCP対策としても有効です。BCPとは事業継続計画のことで、災害などで物流が止まらないようあらかじめさまざまな対策を行うことです。
モーダルシフトによってさまざまな代替輸送手段を用意しておくことで、緊急事態でも貨物の輸送を止めずに事業を継続できます。
モーダルシフトを行うデメリットは、主に以下の4点です。
場合によっては従来の輸送方法のほうが低コストで効率的になるケースもあります。メリットを活かすのがポイントなので、デメリットを把握したうえでモーダルシフトを行うか検討してください。
モーダルシフトは、短距離では輸送コストが車両よりもかかる傾向にあります。関わる人の数が多く、人件費や燃料代などさまざまなコストが想定されるでしょう。
利用する目安は500km以上の長距離からですが、国土交通省ではモーダルシフト等推進事業の一環として補助金を募集しています。令和7年度(2025年度)の募集は終了していますが、令和8年度(2026年度)以降も募集が行われる可能性があるので、国土交通省のサイトをチェックしておきましょう。
モーダルシフトは、従来のトラック配送よりも輸送時間がかかります。たとえば、船舶では東京~博多や北海道間で最短でも3日程度です。
近年では翌日配送などリードタイムが短いことが好まれるため、輸送に時間がかかる点はネックとなります。どこまで輸送時間を許容できるか、また荷受け先や顧客などとの調整を行いながら利用してください。
モーダルシフトでは、船舶や列車などへ貨物を積み替える作業が発生します。そのため、関わる人の数を考えるとむしろ人件費や時間が増加し、改善につながらないケースがある点には注意が必要です。
また、積み替え時の落下事故や、温度変化に対応できないなどのリスクもあります。こうしたリスクや時間的コストも踏まえたうえで、モーダルシフトの運用を組み立てることが重要です。
船舶や飛行機、列車などは、トラックでは発生しなかった天候による影響を受ける場合もあります。台風などで飛行機が欠航したり、高波で船が出せなかったりするケースです。
ポイントとしては、複数の輸送手段を確保してリスクヘッジを行うことです。トラックだけを利用する場合も天候の影響を受けないわけではないため、BCP対策の一環として輸送手段の併用を検討しましょう。
モーダルシフトの適切な利用は、輸送効率向上やドライバー不足の解消だけでなく、事業継続性の観点からリスクヘッジにも繋げられます。政府からもカーボンニュートラルの達成などのため推進されており、補助金が出る場合もあるため、国土交通省のホームページをチェックしておくとよいでしょう。
荷物の積み替え時など、貨物の紛失や所在不明を防ぐため、GPSトラッカーの活用もリスクヘッジの一環として有効です。弊社で提供している物流トラッキングサービス「Jiot」(ジオット)は、GPSトラッカーを用いて位置・温度情報を自動で記録し、Webアプリで可視化できます。車両だけではなく、荷物や輸送資材での使用も可能です。モーダルシフトにおける複数の輸送手段を経由する場合でも、リアルタイムで貨物の状況を把握できるため、安心して輸送を任せることができます。
効率的な貨物輸送とコスト削減のため、ぜひモーダルシフトの取り組みを検討してみてください。