2025年4月施行「物流効率化法」とは何?改正ポイントと企業への影響について解説

 

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2024年5月に改正され、2025年4月より段階的に施行される「物流効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)」。本記事では改正のポイントや企業への影響について解説します。

改正の主な内容は、荷待ち・荷役時間の短縮や積載効率の向上に関する努力義務の追加や、特定事業者に対する規制強化などが挙げられます。規制が厳しくなる一方で、認定された事業者は補助金や税制優遇などが受けられるため、業務改善の絶好のチャンスともいえます。法改正の内容を正しく理解し、自社の対応策を検討しましょう。


物流効率化法とは?

物流効率化法について、以下の3点を解説します。

●    物流効率化法策定の目的と背景
●    改正物流効率化法の主なポイント
●    物流効率化法の利点

「2024年問題」に端を発するトラックドライバーの時間外労働規制などが背景となっており、社会課題ともいえる労働力不足と輸送能力低下を軽減する目的があります。背景とポイントを押さえ、適切な対応を行ってください。


物流効率化法策定の目的と背景

物流効率化法策定の目的は、国民生活・経済活動を支える社会インフラである「物流」の持続的成長を図ることです。トラックドライバーの労働時間に関する上限規制が行われ、輸送能力低下が懸念される「2024年問題」が背景にあります。

また、近年のECの普及による小口配送の増加やCO2排出量削減など環境問題に対する対応策としての側面もあり、国内外における物流全体の効率化を図ることを目的としています。

 


改正物流効率化法の主なポイント

改正物流効率化法の主なポイントは以下の3点です。

●    物流事業者に対する荷待ち・荷役時間短縮や積載効率向上の努力義務
●    特定の事業者に対する規制の強化
●    DX・GXに対する補助金・財政投融資

規制が強化されたり、物流効率の向上を目指す必要がある一方で、設備投資などに関する支援が行われるようになります。

 

物流効率化法の利点

物流効率化法は、物流事業者、荷主企業に対して以下のような利点があります。

●    補助金・税制優遇などの支援が受けられる
●    法改正への対応が業務の効率化につながる
●    環境問題への対応にもなる

単純にさまざまな義務が課せられるわけではなく、補助金や税金の面などでメリットが得られるのが特徴です。荷待ち・荷役時間の削減や物流プロセスの効率化において、実際に補助が行われるようになるという点が、大きな利点といえるでしょう。


物流効率化法で定められた内容

物流効率化法で定められた具体的な内容は、以下の3点です。

●    物流事業者の努力義務の導入
●    特定事業者に対する規制
●    物流DX・GXの支援拡充

メリットもある一方で、具体的な対策を行わなければならない点は課題でもあります。自社のみでの対応が難しい場合は、物流DXなどの支援サービスの導入も検討していくのがよいでしょう。


2025年現在物流業界が抱える課題は主に以下の5点です。

●    人手不足
●    荷待ち・荷役時間の増加
●    物流コストの上昇
●    再配達の増加
●    その他の課題

2024年から現在における変遷なども紹介するので、ぜひ確認してみてください。


物流事業者の努力義務の導入

物流効率化法の改正においては、すべての物流事業者に対して以下が努力義務として課されます。

●    荷待ち時間の短縮
●    荷役時間の短縮
●    積載率の向上

これらは荷主や配送業者だけでなく、着荷主にも課されます。パレット等の利用、予約システムの導入などさまざまな手段を活用して上記に取り組む必要があるのです。
  ■ 対応しない場合の罰則

前提として、すべての事業者に課される荷待ち・荷役時間削減などについての努力義務は罰則の対象とはなりません。あくまでも努力義務なので、各事業者のできる範囲で取り組むことが重要です。

ただし、物流の2024年問題をはじめとする社会課題として重要なテーマなので、今後罰則が強化されていく可能性はあります。規制強化のタイミングで慌てて対応すると、準備期間が不足し、事業への影響が大きくなる可能性があるため、早期から対応を行っておきましょう。


特定事業者に対する規制

以下のような特定事業者に対しては、前項の努力義務に加えて一部の法的義務が課されることになりました。

特定事業者の法的義務 - カラーボーダー版
特定事業者 基準値 法的義務
特定荷主 及び
特定連鎖化事業者
取扱貨物の重量
9万トン以上
  • 物流統括管理者の選任
  • 中長期計画の作成
  • 計画に対する定期報告
特定貨物自動車
運送事業者等
保有車両台数
150台以上
  • 中長期計画の作成
  • 計画に対する定期報告
特定倉庫業者 貨物の保管量
70万トン以上
  • 中長期計画の作成
  • 計画に対する定期報告

参考元:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト

主に物流全体に対する影響の大きな事業者が対象となります。上記に該当する事業者は、計画的に荷待ち・荷役時間削減や積載率の向上に取り組むことが必要です。

 ■  対応しない場合の罰則

特定事業者に関する法的義務については、違反すると最大100万円以下の罰金が科される可能性があります。さらに、指名停止や認定取消などの行政処分が行われる場合もあるため、該当する事業者は法令を遵守するよう取り組んでください。


物流DX・GXの支援拡充

物流総合効率化法の認定を受けることで、物流DX・GXなど物流効率向上の取り組みに関して支援が受けられます。

■    物流DX・GXの取り組み例

物流DX例:輸配送管理システム(TMS)、倉庫管理システム(WMS)、AIによる配車最適化

物流GX例:電動トラック(EV)の導入、モーダルシフト(トラック→鉄道・船舶)、再生可能エネルギーの活用

■    認定事業者が受けられる支援内容
 ●    営業倉庫に対する法人税や固定資産税・都市計画税の減免制度
 ●    市街化調整区域に物流施設を建設する場合の開発許可に関する配慮
 ●    モーダルシフト等の取り組みに対する計画策定経費や運行経費等の補助
 ●    鉄道・運輸機構による資金の貸付け・出資


運行経費等の補助や低金利での融資などが受けられるのが利点です。支援を受けるには、国土交通省のホームページ「物流効率化法に基づく支援」より申請書をダウンロードして、管轄の運輸局に提出してください。


物流効率化法の改正は業務改善のチャンス

2025年4月より施行される物流効率化法の改正は、補助金や税制優遇など物流事業者にとって多くの利点があります。一方で、特定事業者への規制強化や努力義務の追加など課題も多いため、一時的に業務を圧迫する可能性もあるでしょう。

しかし、補助金などが整備されたこの法改正は、中長期的には業務改善の絶好のチャンスでもあります。物流支援を行う企業などと協力し、物流DX・GXに取り組むことが、法改正への対応だけでなく、競争力強化につながります。

弊社では、物流トラッキングサービスを通じて、輸配送の可視化や効率化など、物流効率化法への対応を支援するソリューションを提供しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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