仮想上で定義された境界エリアを示す「ジオフェンス」は、物流業界においても活用が期待されています。
そこで本記事では、ジオフェンスの概要やメリット、物流業界における活用方法などを解説します。
さまざまな業界で既に活用されているシステムなので、ぜひ今のうちからジオフェンスについて押さえておいてください。
目次
ジオフェンスとは、仮想の境界線で囲まれたエリア(円形、ポリゴン)のことを指します。
ジオフェンスはGPSやWi-Fiといった位置情報データを活用し、エリア内の出入りを検知してさまざまなサービスなどの提供を行うことが可能です。
本項では、ジオフェンスの利点や実際に活用されている業界などを解説します。
ジオフェンスのメリットは、囲まれたエリア内の出入りをトリガーとしてさまざまなアクションが起こせる点です。
特定の位置内でのみ情報を発信したい場合や、エリア内に入ったことを検知・記録する仕組みなどに活用できます。
適切なタイミングで狙った相手に、ピンポイントに情報の共有や発信ができるのが大きなメリットとなっています。
ジオフェンスは既にさまざまな業界・分野において使用されています。
例えば以下の4点です。
生活の中で何気なく目にしている広告なども、ジオフェンスを使用したものかもしれません。
それぞれの活用内容について解説していきます。
観光業では、特定の観光地内に入ったときに、観光地の情報などを発信することに利用されています。
また、エリアだけでなく屋内の一部を指定することも可能です。
こうした情報は、その観光地や飲食店などを訪れたタイミングで欲しい内容なので、情報を求めるユーザーにピンポイントにリーチできるのが利点です。
観光業と似た部分ですが、マーケティング分野でも同様に活用されています。
特定の店舗内や近くにいるユーザーに、お得なセール情報などを配信できるのが利点です。
年齢や性別などが把握できれば、さらに効果的に広告や情報の発信に繋げられるでしょう。
ジオフェンスはマーケティング的な利点だけでなく、防災・安全などにも活用されています。
例えば、地震や大雨などの被災地において、危険区域をエリア設定しておけば、エリア内への侵入に対して警告を送れます。
他にも、距離の離れたところに住んでいる高齢者や、小さな子どもの通学時など、自宅や校門を通過した際に検知することで安全を確認可能です。
「今どこにいるか」の位置情報ではなく、あくまでもエリア内の出入りのみを検知するのでプライバシーにも配慮されています。
航空法の改正など、運用の厳しくなっているドローン業界においても、ジオフェンスは活用されています。
ドローンを飛ばす場合、飛行場付近など飛行しても良いエリアが厳しく制限されているのはご存知でしょうか。
誤ってこうしたエリアを飛行しないよう、あらかじめ自身がアプリなどでエリア設定しておくことで、規定以上の高度やエリア内への侵入を防止することが可能です。
物流業界におけるジオフェンスの活用方法を紹介します。
ジオフェンスは物流の効率化に効果を発揮します。
例えば、トラックが目的地のエリア内に入ったことを事前に検知できれば、スケジューリングがしやすくなります。
GPSを活用してトラックの出入りを管理することができるので、荷待ち・荷役時間の把握にも繋げられるでしょう。
ジオフェンスを使えば、エリア内での速度超過などを検知して警告出せるため、事故の予防などに繋がります。
制限速度の違反などは管理側への通知も可能なので、違反者への注意や指導に利用できます。
また、特定エリア内で制限速度や各種ルールが変わる場合にも、検知していち早くドライバーに知らせることが可能です。
事故を未然に防ぐためにも、ジオフェンスの導入はおすすめです。
エリアの出入り時間を記録できるため、勤怠や荷待ち時間などの実態把握にも活用できます。
物流「2024年問題」への対応など、働き方改革が求められる昨今では、拠点への入退出時間の記録は重要なポイントです。
実態をいち早く把握し、労働条件の改善に繋げるためにもジオフェンスは効果的です。
本記事では、「ジオフェンス」の概要や物流業界における利点について解説しました。
ジオフェンスは仮想の境界線で仕切られたエリアのことで、エリア内への出入りに合わせてさまざまな情報発信を行います。
物流業界では、物流の効率化や入出管理、事故の予防などで効果を発揮するでしょう。
ジオフェンスは「物流トラッキングシステム」などのGPSトラッカーと組み合わせることで効果を発揮するので、荷待ち・荷役時間の把握などに悩んでいる事業者の方は導入を検討してみてください。