近年、物流の効率化や資産管理の観点から「アセットトラッキング」が着目されています。
移動体にGPSなどを取り付け位置情報を把握することで、効率性や安全性を高めるのが目的です。
本記事では、アセットトラッキングの概要と、物流業界における重要性について解説します。
アセットトラッキングは物流「2024年問題」への対応だけでなく、企業の資産管理においても重要です。
物流業界での業務に従事している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
まずは、アセットトラッキングについての基本的な概要について、以下を解説します。
アセットトラッキングを行うことで、業務効率化や資産管理効率化に繋がります。
実際にアセットトラッキングが行われている事例も紹介するので、自社の業務に応用できる部分があるかぜひチェックしてみましょう。
アセットトラッキングとは、「資産(Asset)の追跡」のことを指します。
車両や荷物、あるいは機械などを、IoTツールを活用して位置情報を把握することです。
例えば、GPSトラッカーなどを車両や貨物に搭載し、資材が現在どこにあるのかを遠隔で把握する方法などがあります。
トラッキングを行っていない場合、実際の位置や状況は当事者でないと把握できません。
しかし、アセットトラッキングを行えば遠く離れた場所からでも、保管場所把握、棚卸ができ、稼働・滞留時間把握、偏在・紛失防止に繋げることも可能となります。
アセットトラッキングのメリットは主に以下の通りです。
まずは、物などの位置を把握できるため、効率的な運用や生産性の向上に繋がるでしょう。
物流はもちろん生産ライン上に置いても、部品が適切なフローで流れているかを把握しやすくなるため、問題点の把握と改善をスピーディに行えます。
加えて、現場の一部の人員にしか把握できない状況を管理側でも把握できるようになるため、品質の担保にも繋がります。
また監査や棚卸においても、物の場所が簡単に把握できるため記録したり探したりする手間が省けるというのが利点です。
導入に費用がかかるというデメリットもあるものの、資産管理や品質の向上に関わる人件費などを総合的に考えれば、アセットトラッキングを導入するメリットはあるでしょう。
アセットトラッキングは以下のような現場・状況で活用されています。
事例 |
概要 |
トレーラーなどの稼働状況の把握 |
稼働状況の可視化ができるので、繁忙期と閑散期の利用状況の分析が可能。 |
作業機械・ツールなどの状況把握 |
機械などの位置情報だけでなく、購入記録なども把握できるので、 |
生産ラインの状況把握 |
生産ライン上の部品が正しく組み込まれたか、 |
公共交通機関などの移動車輛の位置情報確認 |
タクシーやバスの位置情報を把握し、待ち時間や移動時間の |
物流業界におけるアセットトラッキングの重要性について解説します。
物流業界は近年、ドライバーの長時間労働が問題になっており、労働時間の規制によるドライバー不足が問題となっています。
物流「2024年問題」とも呼ばれるこうした課題に、アセットトラッキングは有効です。
自社で残業時間の削減や荷待ち・荷受け時間の削減が課題となっている場合は、アセットトラッキングの導入を検討しましょう。
物流業界におけるアセットトラッキングの活用方法を紹介します。
主に以下の3点が大きなメリットです。
上記の点において課題を抱えている事業者の方は、ぜひ導入を検討してみてください。
アセットトラッキングは、資産の管理がしやすくなるのがポイントです。
例えば、トレーラーシャーシのトラッキングが可能になれば、広いコンテナヤード内ですぐに位置が確認できます。
単純にトレーラーを探し回る時間が削減できるので、移動時間などのロスを防げるでしょう。
また、「物や車両がどこにあるのか分からない」という状況を防げるため、無駄なコストを省く意味でも有効です。
資産の効率的な運用・最適化を実現
トレーラーシャーシ等、物流資材の稼働状況の可視化ができるので、繁忙期と閑散期の利用状況の分析が可能となります。
キャパの調整・最適化が可能になり、無駄な運用を防ぐことにつながります。
トラックの位置情報を把握できれば、物流の効率化や荷待ち・荷役時間の削減へと繋げられます。
物流業界でのかねてからの課題として、トラックが定刻通りに倉庫などに到着していても、順番待ちや倉庫内オペレーションの不備によって長い荷待ち時間が発生することが挙げられます。
そこでGPSトラッカーなどでトラックの位置情報を把握できれば、荷受けの業者と連携して効率よく人員配置を行い、荷待ち時間の削減に繋げられるでしょう。
荷主や荷受けの業者など、物流フローに関わる全ての方の協力が不可欠ではありますが、位置情報を把握できれば協働して運用しやすくなるはずです。
アセットトラッキングは輸配送における品質の担保にも繋がります。
例えば、冷凍冷蔵車にGPSトラッカーを搭載すれば、輸配送時の品質(温度・衝撃)状態を観測し、輸送状態の把握と品質管理に繋げることが可能です。
アセットトラッキングを行うには、GPSトラッカーなどを搭載し、車両や荷物の位置情報を把握するのが一般的な使い方です。
GPSトラッカーとは、搭載した貨物や車両の位置情報を瞬時に把握できるITツールのことです。
また、単純に位置情報を把握するだけでなく、輸送距離からCO2排出量を可視化できるため、SDGsの観点からも有効でしょう。
特に近年ではCO2排出量の把握を義務付ける国際的な流れがあるため、資産管理以外の面からもGPSトラッカーの導入はおすすめです。
本記事では、アセットトラッキングの概要と物流業界における重要性などを解説しました。
アセットトラッキングは資産の追跡を意味する単語で、資産・資源の管理と業務効率化に繋がります。
GPSトラッカーなどのIoTツールを用いることで可能となるのでドライバーの長時間労働に悩んでいる事業者の方は導入を検討してみてください。